インタラクション系のおすすめな本まとめ

インタラクション系のものづくりに関する色々な本を人に薦めてきたんですけど、まとめてこの辺のやつがいいよ!っておすすめしたことなかったので、まとめてみます。インタラクティブなものを作ってみたい!という人の参考になるように書きました。

インタラクション系の定義

インタラクションデザイン、フィジカルコンピューティングメディアアートインタラクティブアート、HCI、VR、AR、ArduinoGainer、openFrameworks、Processing、プロトタイピング、デザイン思考、AtomsとBits、電子工作、素人工作、Makeなんかの言葉に反応する人たちの集合のつもりです。よろしくお願いします。

基礎

Arduinoの本として紹介されることが多い『Prototyping Lab』ですが、書名の通り、ものづくりをする上でのアイデアの出し方から載っている本です。その部分は分量としては多くないものの、とても重要なことがキチンと載っていて、これ1冊で一応インタラクションがあるものづくりを網羅しているので、まず1冊目はこちらから買うのがオススメです。
また、Arduinoのクックブックとしても優れていて、ひとまずこの本を見ればArduinoの入出力に関して大体のことが分かります。この本は僕も買って以来何回も見直していて、最も使っている技術書になっています。この本の通りに接続したら動くはずというのは大変心強いです。どれくらい便利かというと、研究室で1冊しかないこの本が奪い合いのような状態になってしまっていたぐらいです。
よく初心者の人がArduinoの参考書として同じオライリーから出ている「Arduinoをはじめよう」を買っているのを見るのですが、あちらは内容が寂しくてあまり使えないので、少し高いんですこちらを買うのが断然オススメです。

プログラミング

この分野でプログラミング自体が初心者の人はまずProcessingから始めるのがおすすめです。ただし身近にopenFrameworksをやっている人がいるなどの特殊な環境にいる場合はそちらの言語から始めると良いかも。詰まった時に分からないところをすぐに聞けるというのはモチベーションの持続に大変重要なので。

Processing

Built with Processing[Ver. 1.x対応版] -デザイン/アートのためのプログラミング入門

Built with Processing[Ver. 1.x対応版] -デザイン/アートのためのプログラミング入門

僕はこの本が最初に買ったProcessing本です。美大でプログラミングを教えるための教科書として作られているので、プログラミングをしたことがない人向けにやさしく書かれています。

openFrameworks

Beyond Interaction[改訂第2版] -クリエイティブ・コーディングのためのopenFrameworks実践ガイド

Beyond Interaction[改訂第2版] -クリエイティブ・コーディングのためのopenFrameworks実践ガイド

世界初のopenFrameworks本のBeyond Interactionです。田所さんという美大・藝大でメディアアートのテクノロジーを教えている方が書いています。こちらも分かりやすく、また最新のメディアアートインスタレーションの裏側が載っていて、メディアアートに興味のある人には特におすすめの本です。

初版がなんとCreative Commonsライセンス(CC-BY-NC-SA)で無料で公開されています。
Beyond Interaction PDF版をCreative Commonsライセンスで配布開始! | yoppa org
最新版のopenFrameworksと、初版で扱われているopenFrameworksではバージョンが変わっているので注意が必要なので、初心者のかたは素直に本の方を買っておくのがよいと思いますが、どういう本なのかを確認出来るので是非。

yoppa.org

http://yoppa.org/
上記の本を書いた田所さんのWebサイトなのですが、ここに講義資料を載せてくれていまして、数百ものメディアアート学生・人を救ってくれたサイトです。僕もここの資料で独学でProcessingを学びました。
この分野に興味があるけど本を買っても無駄になるんじゃないかと踏み切れない人は、こちらの資料をダウンロードして始めてみるとよろしいんじゃないかと。Processingだとこの辺りですかね。
http://yoppa.org/geidai_grapha11

電子工作

建築発明工作ゼミ2008: 目次:Arduino
Arduinoの本はPrototyping Labがよいと上で書きましたが、Web上にPrototyping Labと似たリソースとして建築発明工作ゼミというのがあります。こちらも大変よいサイトでして、これが無料で公開されているのが信じられないレベルです。一度ざっと見ておくと後々役に立ちます。

作る・できる/基礎入門 電子工作の素

作る・できる/基礎入門 電子工作の素

Arduinoでひとまず始めたけど、それ以上をやらなきゃとなった時にあると心強いのがこの本。電子部品・素子の役目・仕組み・構造・使い方まで教えてくれます。僕の場合、オペアンプの使い方が分からなかったんですが、こちらの本を買って使えるようになりました。リファレンス的ですが、網羅性とわかり易さのバランスが取れている本だと思います。
また電子工作の経験がない人は、どのような部品があるのかということも知らずに苦労しているように見受けられるので、こちらの本とか買っても良いかもしれません。
電子部品図鑑

電子部品図鑑

電子部品屋さんのWebをひと通り見るのもおすすめ。もちろん日本には電気街がという素晴らしい場所があるので実店舗に行くのもアリ。
秋月電子通商 - 電子部品・半導体 【通販・販売】
トップページ - スイッチサイエンス
SparkFun Electronics
Adafruit Industries, Unique & fun DIY electronics and kits
Seeed Studio Bazaar, Boost ideas, Extend the Reach

工作

電子工作とプログラミングが出来るとインタラクションは作れるようになると思います。その次、もしくはその過程で足りなく感じるのは工作スキルだったりします。僕はそうでした。工作スキルをひと通り書いた本としては、パンタグラフさんの『造形工作アイデアノート』がおすすめです。

造形工作アイデアノート―オトナのための工作本

造形工作アイデアノート―オトナのための工作本

色々な工作の手法がまとまっていて、今はそのスキルがなくても、問題にぶち当たった時に解決方法の一つとして思い浮かぶようになるので、ひと通り読んどくとよいです。パンタグラフさんは撮影に使われる一点ものの模型を制作する方たちなのですが、一点ものの制作という意味では研究と同じなので大変参考になります。

コンピュータビジョン

ディジタル画像処理

ディジタル画像処理

コンピュータグラフィックス

コンピュータグラフィックス

詳解 OpenCV ―コンピュータビジョンライブラリを使った画像処理・認識

詳解 OpenCV ―コンピュータビジョンライブラリを使った画像処理・認識

各種センサーを使うよりも、画像処理でセンシングする方がよい時はけっこうあります。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
OpenCVを学ぶのにおすすめな本とWebサイト(2014年版) - miso-engine

メカニズム

ロボットのための“機構”アイデアブック ~タミヤユニバーサルアームで作る~

ロボットのための“機構”アイデアブック ~タミヤユニバーサルアームで作る~

インタラクションを考えると出力の段階でメカニズムが必要になることが多くあります。そんなときに頼りになるのが『ロボットのための“機構”アイデアブック』です。タミヤのパーツを使うことで簡単に素早く機構を試せるレシピ集となってます。が、重版されずにとうとうマーケットプレイスで1万円超え……入手が難しい状況ですね。確かに1万円出す価値があるのですが、とりあえず毎日コミュニケーションズさん重版お願いします!!研究室で買うから!!
Making Things Move ―動くモノを作るためのメカニズムと材料の基本 (Make: PROJECTS)

Making Things Move ―動くモノを作るためのメカニズムと材料の基本 (Make: PROJECTS)

『ロボットのための“機構”アイデアブック』はレシピ集でして、実現したい動きを探してそれを本を参考に実装するという使い方になるわけですが、もう少しちゃんと取り組みたいというひとはこちらのMakeシリーズの本で学ぶのが良いでしょう。アメリカで出版した本なので、載っている事例を試すのが微妙に文化のズレに邪魔されるところはあるものの、メカニズムを設計する上で知っておくべきことをちゃんと順番に網羅している教科書的な本です。ニューヨーク大学のITPコースというインタラクション系のところで「動くメカニズムと物」という講座を教えている人が書いただけあって、インタラクション系の人間にはピッタリのはず。僕もまだこれちゃんと読みきってはいないので、はずとしか言えないのですが。。。

デザイン思考

SFCのようなゆるふわなところでも、工学寄り(特定の技術がバリバリ出来る)の人は少しアイデアを出すのが苦手なように見受けられます。ある程度技術が分かる人はそこに発想が縛られてしまう面があるのだと思います。そういう人にオススメなのはデザイン思考という本で、これはデザイナーがよく参照しているように思うんですが、エンジニアが見る方がよいと思います。
この分野の発祥であるIDEOという会社の人が書いた本をチェックしとけば間違いはないです。

デザイン思考が世界を変える (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

デザイン思考が世界を変える (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

発想する会社! ― 世界最高のデザイン・ファームIDEOに学ぶイノベーションの技法

発想する会社! ― 世界最高のデザイン・ファームIDEOに学ぶイノベーションの技法

イデアが出ないならアイデアの本を参考書籍に出せばよいとも思ったのですが、ひたすらアイデアの発想法が述べられるよりも、どういうスタイルで問題発見と解決に向かっていくべきかという流れがわかったほうがいいかなと思い、デザイン思考をオススメしてみました。
これらのデザイン思考やアイデア発想に関する本を読む上で大切なのは実践なので、どんな本を買ってもよいのですが必ず実践してみてください。

まとめ

ということで、ざっと紹介してみました。それぞれの見出し毎には1冊か2冊しか紹介してないのに、まとめて書くと結構時間かかりますね。スキル別に見ていくと、自分の得意不得意、足りないところが客観視出来るんではないでしょーか。僕は工作とメカニズムあたりをもう少し強化したいところです。
今後もこの記事は最新版に編集していこうと思いますので、ご意見、感想等頂けたらうれしいです。

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インタラクション系のおすすめな本(便乗編) - yumulog | 社会人博士の日記
夜中にこの記事を公開して起きてみたらid:yumu19先生に便乗されてしまいました。僕は実装の時に役に立つ実践的な本を中心に紹介したんですが、ゆむ先生の記事は理論及び事例集が中心ですね。そもそもこの分野ってどういうものがあるんだろうと思ったら、こちらを参考にすると良いかと。