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SIGGRAPH 2015 に参加してきました

SIGGRAPH 2015にPosterが通り参加してきました。SIGGRAPHはCGに関する学会で、ACMコンピュータサイエンスの学会)の主催する学会の中で最大の学会でもあります。CGの周辺分野も取り込んでいて、僕自身バックグラウンドとしてはHCI(ヒーマンコンピュータインタラクション)で、CGではないのです。というわけで、僕が聞いたり参加したセッション等をまとめました。結果としてTechnical Papersに関してはひとつも言及していないので、その辺に興味のある方は他の方の記事を御覧ください。

スケジュール・場所・時間割

8/9(日) - 8/13(木)の5日間のアメリカはロサンゼルスのロサンゼルスコンベンションセンターでの開催でした。コンベンションセンターダウンタウンにあります。場所のイメージとしては話題の国立競技場ぐらいに都心です。
大学と同じで90分が基本単位になっており、9時開始で1-5限まであるという感じ。17時くらいまでに大体真面目な話は終わります。
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仕組み

展示

Emerging Technology, Art Gallery, Making, Studio, VR Villageなど。Exhibitionを大きなホールでやり、それ以外は隣の少し規模は小さいけども大きなホール。Posterだけちょっと広い廊下みたいなところでやってました。Exhibitionだけ火曜からで、ほかは日曜からやってました。

セッション

Talk, Panel, Courseなど。時間を区切ってやるやつですね。セッションごとにあちこちの部屋使ってやってました。上記時間割に当てはまるのはこっち。

以下、時系列で参加して面白かったセッション等を紹介していきます。

日曜日

Studio Talk "Machine Phenomena"

Machine Phenomena | SIGGRAPH 2015
スタジオのトーク。"Design Machines"と"MOR4R"が面白かった。

Design Machines

Nadya Peek, Jamaes Coleman
Massachusetts Institute of Technology

この人達はデジタルファブリケーションの機械を作るためのメソッドを作っていて、Fabの文脈ですね。各地のFablabでこの人達が作ったメソッドに則り、いろいろなファブマシーンが造られている紹介ビデオが流れてたのだが、その時に日本のFablabはしょっちゅう食品を使いたがりオチ要員になっていました。あとその紹介ビデオでFablabのクレジットのところに知り合いの名前が突然出て大変驚きました。

MOR4R: Microwave Oven Recipes for Resins

Kentaro Yasu
Keio-NUS CUTE Center

"MOR4R"はアクリルに熱を集めるシートを貼り付けて電子レンジでチンするとアクリルが任意の形状に曲がるというアクリルのレシピ。熱を集めるシートというのが「レンジで簡単魚焼きロールシート」という名称の製品で、こちらも肝の部分が食品になっててオチでもあり、日本人、食べることに興味ありすぎですね。
詳しくはこちら。
http://www.andoh.org/2015/08/siggraph-2015-machine-phenomena.html

月曜日

Panel "The Renaissance of VR: Are We Going to Do it Right This Time?"

The Renaissance of VR: Are We Going to Do it Right This Time? | SIGGRAPH 2015
最初にプレゼンしたUniversity of Arkanasa at Little RockのCruz-Neira氏が"Hype hurts!!!"を普及の壁の最初に置いてたの面白かったです。IoTも似た雰囲気感じなくもないです。

Keynote Session: Joichi Ito, Director, MIT Media lab

Keynote Session | SIGGRAPH 2015
キーノートがすぐ始まると思ったらACM SIGGRAPH AWARDというものが前にあり、さらにその前にお偉いさんの挨拶がありました。最も偉いACMのChairが「女性をはじめとしたマイノリティのちからが必要」みたいなPC発言してて、日本の学会でもあるといいなと思いました。キーノート自体は伊藤さんがいつもしている話でした。

Making Things Worldwide

ACM SIGGRAPH Theater Events | SIGGRAPH 2015
Autodesk Researchの梅谷さんによるプレゼンが面白かったです。「自由形状をした手投げ滑空機の対話的な設計と最適化」として去年のSIGGRAPHでペーパー出されてます。専門知識が必要な型紙のデザインを専門家でなくても対話的にデザインできるシステム「感度解析を用いた対話的な服飾向け型紙デザイン」も紹介されてました。こっちは2011年のペーパーですね。
どちらの研究もやってみたい!素敵!ってなります。素人も手を出したいけども難しい、というところを技術で支援してあげる。コンピューターの正しい使い方だと思います。
Pteromys: Interactive Design and Optimization of Free-formed Free-flight Model Airplanes
Sensitive Couture for Interactive Garment Editing and Modeling

火曜日

Art Papers "Media(ting) Art and Human Experience"

Media(ting) Art and Human Experience | SIGGRAPH 2015
メディアアートに関するペーパーのセッションでした。

Ethics, Ecology, and the Future: Art and Design Face the Anthropocene

Kayla Anderson
The School of The Art Institute of Chicago

この人は評論家で、現代アート寄りの問いかける系のものを作ってるメディアアーティストたちを、問題を解決しない、未来の人類学者であると言っていました。

Articulating Media-Arts Activities in Art-Science Contexts

Angus Forbes
University of Illinois at Chicago

こちらの方はメディアアーティスト側。英語ネイティブなのにスライドに原稿そのまま載ってて、それをきれいに整形してあるというすごいスライドでした。非ネイティブ標準スライドになるといいな。内容としてはメディアアーティストはどういう立場なのか、デザイン的な有用性のアプローチから始めて、先ほどの人とは違うのねと思ったら、それだけだとメディアアーティストって言えないよねってもってくる話し方で、最初の人の問題を提示するという在り方も含めて、色んな角度からメディアアーティストを語り、最終的にはメディアアーティストは色々な面があって分類し難いところがありそここそ価値みたいなお話になってました。

The Dual Skins of a Media Façade: Explicit and Implicit Interactions

Claude Fortin, Kate Hennessy
Simon Fraser University

最後の人はメディアアート論ではなく当人の関わったプロジェクトについてでした。
僕としてはこの後、六本木ダークナイト的な( http://togetter.com/li/812920 )あんなのはメディアアートじゃない!みたいな討論始まって欲しかったんですが、そういう展開にはならなかったですね。

Poster Sessions "atmoRefractor: Spatial Display by Controlling Heat Haze"

Research | SIGGRAPH 2015
自分の発表です。陽炎使って景観の見えを変えるぞ!ってディスプレイです。www.youtube.com

VR Village Talks "VR Creating at the Edge"

VR Village Talks | SIGGRAPH 2015

The View From the Ground: Telling Real-World Virtual Reality Tales That Evoke Empathic Engagement

Nonny de la Peña
CEO, Emblematic Group

このセッションは4人の発表者がいて、4人中3人が普通にVRの主に技術的な側面とTipsみたいなやつを話ていたGeekな雰囲気の中、ジャーナリストがVRジャーナリズムみたいなの発表していて異色の発表でした。いきなりVRでのレイプの話をしだして、それまでの発表とは明らかに違う雰囲気に。セカンドライフでの例だったと思うのですが、VR上でレイプされると現実ではないのに強い怒りを覚えるとのこと。VRのこの性質を利用しジャーナリズムに利用したというのがプレゼンのテーマ。具体的にはVRで事件の状況を再現することで、今までのジャーナリズムでは出来なかった没入感で社会に訴えるみたいなことなんだと思います。そこでの例が、海外のエグい暴力の事案を再現したもので、プレゼンだから実際には体験出来ないのに破壊的なインパクトがありました。実際、現状ではVRはみんなが体験出来るものではないから、誰かが体験して反応する様子(HMDをつけた状態でVRの相手に向かってやめなさい!警察を呼ぶわよ!って叫んでいる様子など)をムービーにしてFacebookでバズらせたとのこと。

Emerging Technology Talks

Emerging Technologies | SIGGRAPH 2015
Emerging Technologyのトーク。5件の発表のうち4件が日本人がファーストオーサー。他の人がレポートしてると思う&日本語でも詳細読めると思うのでパスします。www.youtube.com

水曜日

時差ボケと疲れが溜まった結果、1日中完全に寝ていました。

木曜日

Studio と Making に参加

Studio | SIGGRAPH 2015
Making @ SIGGRAPH 2015 | SIGGRAPH 2015
Studioは新しいコンテンツの作り方のショーケース。アカデミックもあれば企業もあり、講座からワークショップまで色々とあります。Makingはより教育寄りで名前も近いMaker Faireと似た雰囲気でした。とはいえ一参加者としてはこれら二つは場所も隣で切れ目もないのでほぼ一体のものとして見えていました。
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1. Studio "MOR4R: Microwave Oven Recipes for Resins"

Works: Kentaro Yasu
電子レンジでアクリル曲げて遊びます。楽しい!茶色のシートがついた縦長のアクリルに灰色の例の魚焼きシートを貼り付け、電子レンジに入れてあったまったところを軍手して手で曲げます。バングル作ろうとしたんですが、サイズ大きすぎて失敗しました。残念。
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2. Making "Fly Original Free-Form Airplanes Using Pteromys."

専用のソフトで設計した紙飛行機を、レーザーカッターで型紙を出力し飛ばせるコーナー。月曜日のところで紹介した梅谷さんの研究です。紙飛行機の設計出来て喜んで出力を待ってたら、隣のブースがレーザーカッター占有してたようで結局出力出来ませんでした……。

Art Gallery

Art Gallery | SIGGRAPH 2015
"Hybrid Craft"がテーマで、デジタルファブリケーションマシーンと既存のクラフトの技術を組み合わせた作品の展示になっていました。割と直球の組み合わせ方で、デジタルファブリケーションと組み合わせたからこそ、とかこうきたか!みたいなものは少ないのが残念でした。現状のデジタルファブリケーションマシーンは人間の出せる精度にかなわないので、クラフトという位置づけだとそこが目立ってしまうのもマイナスポイント。

感想

全体的な感想

SIGGRAPH参加できた!というよろこびと、意外に小さかったなという印象が残りました。前者については昔の研究室の人や知り合いが割と参加していた中で噂に聞くSIGGRAPHに参加出来た!っていうことですね。後者はACMが開く最大の学会がこの規模なんだ、と。把握しきれないぐらいデカイと思ってたらそうでもなかった。
そして当たり前の話なんですがCGの学会なので、自分のようなインタラクション系の人間でCGの最新の課題等を把握していないから中々話についていけなかったです。なのでUISTとかCHIも見てみたいなというモチベーションが湧いたんですが、残りの学生期間中では不可能……。
また、出会う学生がみんな優秀で自分の研究を立て板に水に語ってて、自分がやっていることを研究の文脈で話すのにいささか困難を感じがちの僕としてはどひゃーという気持ちで見てました。

VRについて

わりと直球のVRの話、特にHMDを使った視覚的なヤツの話を聞いた中で、ソフトウェア的な側面では、Unityがデファクトスタンダードになりつつあるというのを感じました。ハードや他のソフトは色々な種類があるなか、Unityだけは共通して使用しているソフトにあがってたんですね。

ePosterについて

今回からPosterがePosterになったそうです。僕はそもそもポスター発表初めてだったので、昔と比較は出来ないのですが、ePoster単体で見ても使いづらいシステムでした。
ePosterは画面でポスター発表するシステムで、Kioskと呼ばれる端末が8台会場に置かれ、そこで閲覧します。ポスター自体は5枚の4:3の比率で作るスライドで構成されます。その結果、ほぼプレゼン発表と変わらない状態で、一覧性が極めて乏しい表示となっていました。また、ePosterを操作する仕組みも独自のシステムでかつ分かりにくく、スライドを画面に最大化することが出来ない発表者の方が多いという目を覆いたくなる状態でした。さらに、ePosterなのに動画の再生は出来ず、投稿者は自分のデバイスで動画を流す必要がありました。
最初の試みとはいえ、発表者も参加者の双方にとってデメリットが多い結果になったように思えます。
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