MacBook Air (11-inch, Mid 2012)でWordを使うと大変重く、またよく落ちるものだから、Wordを使う縛りがない修士論文は、TeXを使ってコーディングし出力した*1。目次、図目次、表目次、参考文献の自動出力は大変使いやすく助かった*2。今回、僕が作成した、所属(早稲田大学理工学術院 基幹理工学研究科 表現工学専攻*3)向けの修士論文テンプレートを公開する。
環境はMac OS X 10.10.5 (Yosemite)とMacTeX-2015である。導入も結構手間があったのだが、来年使うとしたらEl Capitanだろうし、El Capitanではヒラギノフォントの扱いが大きく変わったとのことで、書いても役に立たないし個別の事情が多すぎかつ今更インストールしてなかった状況を再現できないので割愛する。各自導入してほしい。
執筆環境としては基本CotEditorで書き、ターミナルでmakeしてコンパイルしていた。CotEditorは本当にいいエディタである。TeXShopはbibtexファイル編集用に利用した。作成したテンプレートの経緯及びライセンス
http://ymrl.github.io/thesis-template/
http://wiki.kurokobo.com/index.php?LaTeX
今回のテンプレートは@ymrlのテンプレートからのフォークである。そして@ymrlテンプレートは@kurokoboテンプレートからのフォークである。@ymrlの改変部分は著作権が放棄されているが@kurokoboのオリジナルの著作権は明示されていないはずである。僕が@ymrlファイルから改変した部分は著作権を放棄するのでどうぞご自由に。
http://shokai.org/blog/archives/4858
なおテンプレートを改変するにあたり@shokai*4が公開していたこの記事を参考にした。
@ymrlテンプレートからの主な改変
ドキュメントクラス
最大の改変である。古い日本語ドキュメントクラスであるjreportを利用していたのを[report]{jsbook}に変更した。それに伴い諸々の設定を削除した。新ドキュメントクラスについて詳しくは以下参照である。
pLaTeX2e 新ドキュメントクラス
参考文献と発表文献を分けた
分けろという風潮があったので、分けてみた。ほぼ以下の記事の形で利用した。
TeXで2つの参考文献ファイル(.bib)を読み込んで参考文献と発表論文リストに分ける - how to code something
ファイルの役目
参考文献の処理法
やり方
.bibファイルにbibtex出力したものをコピペしていく。特に管理ソフトは利用していない。
修論自体とテンプレート作成の参考文献
- 作者: 奥村晴彦,黒木裕介
- 出版社/メーカー: 技術評論社
- 発売日: 2013/10/23
- メディア: 大型本
- この商品を含むブログ (16件) を見る
参考Webサイト
- TeX Wiki
- とりあえずググったら出てくる気もするが、最新情報はここで知ることが多い*6
- 使ってはいけない LaTeX のコマンド・パッケージ・作法 - Ichiro Maruta Homepage
- ググらずにまずは『美文書』を当たれと書いたのだが、なんだかんでググる。そんな時に古いテクに当たりがちなのでこの辺を読んで対策しておく。
- 日本人のための LaTeX タブー集 ~画像読込編~ - Qiita
- 上記記事のアンサーソングである。アルファベット文化圏と文字通り文化が違うからね……。
- TeX処理系御伽話 - Qiita
- pLaTeXからupLaTeXにした理由とか。来年はluaTeXになるんだろうか……。処理系のバックグラウンドが分かる。
- LaTeX の「アレなデフォルト」 傾向と対策 - Qiita
- テンプレートを書くにあたって参考にしたのだけど、普通に修論作成する分には必要ないかも。
- newcommandでオプション引数を使う - Nosの日記
- 図のマクロとしてeasyfigという命令作ったんだけど、こちらのサイトのマクロのほうが使いやすい気がするので改変オススメしておく。
- A Big Fish in a Little Pond (もきログ): LatexのCaptionのカスタマイズに関する防備録
- キャプションはここのサイトの情報を元にいじった。デフォルトだとなかなか厳しい。
TeXとLaTeXをググる時の注意
TeXもLaTeXも20世紀からあり、情報が古すぎることがある。そのまま使えるものと使えないものがあり、結構それを区別するのが大変なので、なるべく最新の情報から参考にするとよい。
*2:Wordも出来るはずだけどね
*3:ところでこれが正確な表記なのかイマイチ自信がない
*4:ところでここに出てきた3人は全てSFCの人間なのだが、僕の出自がSFCだからというのもあるんだが、実際にはたまたまこの3人になってしまったという感じがある。というのも2010年代にTeXのテンプレートを公開している人というのが少なく、コンパイル出来るテンプレートというのがさらに少なかったのだ。たぶんTeXを使ってるんだろうなという研究室、卒論・修論生は多く見かけるのに公開されているテンプレートが少ないのは残念だ。
*5:https://twitter.com/h_okumura/status/693230216794083328
*6:美文書の著者である日本TeX界のグル奥村先生の研究室ドメインにあったのが最近移転。退官やポスト移動のために消えていくことの多い大学研究室ドメインから移転してあんしん!